平成とは・・ニュータウン上

越谷市役所越谷市は埼玉県の南東部にある人口約34万人の市。人口はさいたま市、川口市、川越市、所沢市についで県内第5位。2018年7月1日現在341,787人。中核市、業務核都市、保健所政令市に指定されている。

「老化」進む中 進化を探る

越谷レイクタウンに集う人や風景の組み写真が今年8月、東京都新宿区四谷のギャラリーに並んだ。地域の225㌶を開発し、2008(平成20年)年に生まれた計画人口2万2千人余の街を取り続けるのは、越谷市の写真家、山﨑弘義(62)。ライフワークである。「新しい街がどう老成していくか・写真でとらえたい」越谷レイクタウンは平成に入ってできた県内の代表ニュータウン。大規模調整池を中心に国内最大級の商業モール、南側にはマンションが連なる。田んぼだったころから月に2,3度は通い「20年前にあった田園風景は想像すらできないとういう山﨑には、ある発見がある。新しく集まった若い入居者たちの表情が違う」家族がやがて作り出す物語や、「ついのすみか」への期待感のようなものだろうか。レンズ越しに感じるいい雰囲気がある。新しい街に住み始めた住民共通の姿かもしれない。

豊かさの象徴

1956年に各地で「公団住宅」への入居が始まった。昭和30年代、競争率が週百倍になることもあった抽選をくぐり抜けて2DKに住むことは、豊かさの象徴だった。1970年代から民間開発業者が、区画整理された土地に戸建てや集合住宅が並ぶ団地の建設を加速させる。そしてバブル期の住宅価格高騰へ。ニュータウンは時代の目を引く場所だった。国土交通省がまとめた全国2009か所のニュータウンリストによると、県内には157ある。千葉の193、神奈川の165に次ぎ、東京への便が良い鉄道沿い連なる。都内への通勤圏外にもあり、人口に伴う県内の住宅需要の高さと、その広がりがわかる。県と全市町村から派遣された職員が学者を交え、政策課題の研究をする。「彩の国さいたま人づくり広域連合」は、2015年度に空き家に注目したのをきっかけに、ニュータウンに焦点をあてた。かつて憧れの対象だった街に、住人の消えた家が目立つようになっていた。入居開始から完了までの期間が短い街が多く、同じような年齢層がこぞって入居。育った子は進学や就職で家を出たら戻ってこない。街全体の「老化」が早く、同時に進む。県内のニュータウンを訪ねると「あんなに大勢いた子どもたちがいなくなった」と嘆きにも似た声を聞く。人口構成が偏り、将来の「消滅」が心配されるところもある。広域連合の研究は16、17年度と続き、現地調査や有識者の聞き取りなどを重ね、問題解決を探る報告書をまとめた。昭和に始まったニュータウンが膨らんで縮み、課題を抱える。平成はそんな30年でもあった。

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